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欧州テニス選手のトレーニング(通常とオフシーズン)!

欧州テニス事情をお伝えする中で、多くの皆様からこれまでに尋ねられたのが「欧州テニス選手は、ジュニアからプロまで一体どのようなトレーニングを日頃行っているのか」。これにつきましては、もちろんヨーロッパでも国やアカデミー/クラブによる育成・指導方法によって異なる部分はありますが、大まかに共通していて、尚且つ日本とは異なるスタイルである例を今回動画と一緒にご紹介したいと思います。

 

 

1.ヨーロッパは個々の選手に向き合うスタイル、日本は時間配分スタイル

 

まず、日本と最も大きく違うのがコートに入る選手の数。ヨーロッパはジュニア・プロ関係なく、通常のトレーニングではコーチ1人に対して選手は1〜2名(多くても3〜4名の時はありますがサーブ練習中心に行う時や急に担当コーチが何かの理由で合同になるなどのイレギュラー時)で行われます。トレーニングメニューも個々の選手に沿ったかたちで担当コーチが組みますので、常に課題に向き合いながら、選手のその日の状態を見ながらトレーニングが決められていきます。ヨーロッパの選手向けトレーニングは、オンコートではハードというよりもコーチが選手に向き合いながら非常にシンプルなメニューを繰り返し行う印象が強いです。

 

*ヨーロッパにおいて、日頃からコートに4名以上の選手を入れるアカデミーは選手のレベル向上よりも効率などを重視したビジネス目的の要素が大きい為、長期での滞在は避けた方が良いでしょう。

 

 

一方の日本、育成に力を入れているクラブでもほとんどが4名以上〜(コートを複数面使用してコーチ1〜3名の)10名以下選手クラスということをよく耳にします。ヨーロッパが常にプライベートレッスン形式に対して日本はグループレッスン形式。レッスン内容もまずは選手が均等に同じメニューをこなせるよう時間配分型になります。このスタイルで良いところは、どこのクラブも選ばれた選手が集まりますので近くで(同じクラブ/コートで)仲間でもありながらライバルとして切磋琢磨できる良さがあります。意外にヨーロッパでは、アカデミーなどでも身近なところに同年代のライバルが少ないということもよくあります。ただ、やはりグループレッスンですと選手個々に対してのコーチからの的確な指導や会話時間が(圧倒的に)少ないという事も挙げられます。また、グループでトレーニングをしているとどうしても実力的に劣る選手の方に指導者としては目がいきがちにもなってしまう事実もあると思います。

 

そして長いスパンで見た時に、ジュニア時代はグループレッスンでも良いですが、プロとして活動していくにあたってはヨーロッパスタイルに近い少人数で質の高い練習環境を求めて日本で新たな拠点を見つけなければならないという難題もあります(ジュニア時代から育ったクラブでプロとして活動していく環境が整っていない理由が多いようです。担当できるコーチや練習パートナーなど)。ヨーロッパは、比較的ジュニア時代からの信頼できるコーチが在籍している限り、プロになっても同じアカデミーやクラブに在籍して慣れ親しんだ環境でトレーニングを継続する事が多いです。

 

2.オフシーズンの違い、「体作りを目的としたトレーニングを重視するヨーロッパスタイル」

 

もう1つ大きな違いが挙げられるのがトレーニング目的。もちろんトレーニングはヨーロッパ、日本問わず強くなるために行う重要な行動である事は世界共通。ただ、日本のジュニア期間においてどうしてもトレーニングにおいて難しくさせている事があります。それが、日本のジュニア選手における「体作りをするためのオフシーズンが無いスケジュール」。まさにこれにつきます。

 

簡単に書くと、日本の多くのジュニア選手は「試合の為のトレーニング(オンコート中心の練習)」、ヨーロッパやアメリカなどは「翌年1月からの本格始動に向けた筋肉など怪我防止も兼ねたハードなトレーニング(筋力トレーニングや下半身強化のハードな走り込みなど)」。

 

ヨーロッパでは、10月末〜11月初旬でほとんどの選手がその年の大会を終えて翌年1月からスタートする本格始動までの約2ヶ月間「オフシーズン」がスタートします。もちろん、クリスマス以外は休みではなく、おそらくツアーコーチ担当ではないアカデミーやクラブのジュニア育成責任者にとっては、最も力を入れて、そして選手に怪我が起きないよう細心の注意を払いながら過ごす、まさに重要な期間です。もちろん11〜13歳のジュニア選手に筋力トレーニングをさせることなどはないですが、大会期間中に中々行えないようなハードなトレーニングが組み込まれていきます。主にはダッシュなどの走り込みなどの下半身強化。そのため、ヨーロッパではこの時期オンコートでラケットを握る時間が極端に少なくなることがよくあります(もちろん定期的に最低2時間などのオンコートトレーニングは行っています)。

 

 

スペインのアカデミーで行われているオフシーズンに取り入れられるメニューの1つをご紹介しましょう。当時15歳くらいのスペインを代表するジュニア選手ですが、オンコートトレーニングを終えて、夕方から日が暮れるまで、見ていただけでもこの単純ではありますが振り回しメニューを最低でも8セット(おそらくもう少し多く)、これをほぼ毎日行うと言っていました。

 

 

一度、下半身の筋肉を壊して新たに筋肉を作り上げる。。。。これには体は最低3週間〜1ヶ月は回復に必要といわれています。それを考えると皆さんいかがでしょうか?日本では多くの地域で来年の全国大会に向けた予選が12月から始まると聞いています。正直、これでは上記のような欧州選手の取り組みはほぼ不可能といってよいと思います。ある意味、北海道や東北地方では長い冬の影響で2月いっぱいまでは重要な大会がないと聞いています。大会がない事に焦って遠方まで足を運んで出場するようですが、それプラス、上記の事にじっくりと取り組むチャンスも他地域よりもあるということになります。プロの選手だけが重要なオフシーズンではありません。ヨーロッパでは、オフシーズンにハードなトレーニングをして、そして家族と幸せなクリスマス休暇を過ごして翌年から新たなに始動。これが冬の流れです。難しい部分も多い地域の皆さんにとりましても、少しでもご理解頂き取り組んでほしいことです。

 

もう一度書きます。トレーニングといっても、体を作るためのトレーニングと試合の為のトレーニングは、内容に大きな差があります!そして、その積み重ねは更に大きな差となります。1年で長いツアーを周らなければならないジュニアからプロのテニス選手にとって、どれだけこの集約されたオフシーズン期間が重要であるかは、少しでもご理解頂けたかと思います。

 

欧州遠征も寒い冬は・・・と避ける方もおられますが、ある意味、どのようにオフシーズンをヨーロッパの選手達が過ごしているのかを実際に体験しながら肌で感じてみるというのも1つの選択肢と思います。

 

ヨーロッパテニス留学(遠征)HP http://www.masato-sugita.com/index.html

お問い合わせ先 masato.sugita824@gmail.com(椙田/スギタ)

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